VOLT NUTZ

by VOLT NUTZ

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about

■レビュー:藤原昇汰

音楽は僕たちに何を与えてくれるのだろうか。そのような問いを立てる ことは滑稽なことかもしれない。 音楽というものは意味を纏わない、からだの触れ合いのようなものでは なかったか? volt nutzの音楽は僕にそのことを思い起こさせる。ある音楽はドラマを 表現し、僕たちをその物語の勇敢で悲劇にまみれた主人公にする。 だが、volt nutzの音楽は僕たちをそのようなドラマではない、ある場所 へと連れていく。 その場所は常に僕たちがどこか求めている場所に似 ている。 僕たちは場所を求める。どこかに帰属したいと願う。その場所は故郷か もしれないし、友人かもしれない、あるいは恋人かも。 その場所はある人にとっては記憶の奥底に眠るものであり、ある人にと っては未知のものかもしれない。 その場所は僕たちにとって共通のものではない。でも、たぶん、僕たち はそのような場所で他者と出会う。 僕たちが生きている普段の世界は小さな物語で埋め尽くされていて、物 語の中で出会うものたちは役割を演じているものでしかないから。 volt nutzの音楽は他者と出会うための場所を差し出す。そこで出会う他 者は普段見ることができない(あるいは見ていない)、複雑なものたち だ。 そこで僕たちは自分自身も他者であることに気づく。 それは自分が常に自分ではないかもしれないという可能性を開き、僕た ちがいつも偶然であるということを示唆する。 自分は自分ではない、化け物かもしれない。その考えに至ったとき不安 になるだろう。
でも、おそらくその不安の中でこそ僕たちは与えられた役割としてでは なく、何かを愛することができる。 己の偶然性を背負いながら、複雑な他者と出会い、与え、想うことが可 能になる。それがいつも正しいとは思わない。 だけど、僕たちは普段あまりに単純に生きていないか?僕たちは物語 の、役割の世界でいつも何かを取りこぼしていないか? 僕たちはその世界に安住していてよいのか? volt nutzの音楽を聴いてい るとそのような疑問が湧いてくる。 その異化作用は意味とは別の場所で機能しているものであり、言葉で 示すには限界があるものだ。 それは言葉で代表される意味よりも、抱擁あるいはキスのようなからだ のレベルの作用なのだ。だからこのレビューの内容は常に何かが足りて いない。 僕はそのことを諦めている。さらに別の言葉でいうならば、このレビュ ーはvolt nutzの曲について語っているという点で文章の内容と常に矛盾 している。 語るということはたいていあるドラマを物語るということであり、volt nutzの音楽はその範疇にはないものを示しているから。 僕は語れないものについて語ってきたのだ。 だからこの文章は投げ捨てられるべきであり、この文章とは別に曲を聴 くべきである(梯子は投げ棄てねばならないのだ)。 ただ最後に述べるならば、冒頭で示したようにvolt nutzの音楽は僕に音 楽がからだの触れ合いに似たものであるということを思い起こさせ、そ の場所が存在するかもしれないということを考えさせてくれた。 そのことについて僕はmassieと廣瀬さんの音楽に感謝しこの文章をしめ ようと思う。


■Self Review Kazumi Masuda(VOLT NUTS)

M1 始まりの予感、風がそよいでいる。それはテレビの砂嵐のように 静かであり、懐かしさと心地よさに体が揺らされる。

M2 鳥のさえずりのような音たちと機械の森、そこで行われる舞踏と 大地との会話。

M3 海の底に沈む人たちの響かない声とそれを飲み込む暗闇、浮遊す る気泡、イルカの超音波の旋律に救われる魂。

M4 氷の大地に無限に繰り返されるオーロラと水滴の音、その融合で 眠りたくなるが、誰かに呼ばれているような気がしてまどろみの中心に とどまり続ける。

M5 日照りの砂漠で空間がゆがみ歩くのがやっとだ。踏み出す足はと きおり音を返し、私が私のままで続いていることを確認させてくれる。 でもこれは夢かもしれない。

M6 氷漬けの日々、氷に反射する照明の心地よいメロディー、お祭り 騒ぎの光たちだけど僕は踊ることができない。

M7 深夜、愉快だけど静かな都市で地下にうごめくエネルギーがビル にぶつかってこだまする。僕らが恩恵にあずかれるのはそのうちのほん の一部だ。

M8 回転し、シーソーのようにとめどなく傾く思考、誰かが私の脳髄 に注釈を突き刺す、ダーツの矢のように。

M9 不意に幼いころの記憶が到来する。それは波のような動きで私を からめとろうとする。はじめは抵抗するがしだいに私は気づく、「これ は本当に私の記憶か?」

M10 未知なるもの、自分とは違うものからのささやき、それは友愛に 溢れている。こちらからも交信しようとするが電波が悪いみたいだ。す べてのコミュニケーションはいつも完全でないことに僕は気づく。

M11 太古の地鳴りから未来で飛び交う光線まで、そのすべてのうちに 潜んでいるコードの音。それは静かに僕らのからだを構成している。

credits

released September 15, 2019

Sample by Kazumi Masuda
Produced by Masakazu Hirose

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